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工学府長挨拶
工学府長
梅澤 修
横浜国立大学は、「実践性」、「先進性」、「開放性」、「国際性」を基本理念としています。2001年 4月 1日の大学院重点化(部局化)により、教育研究組織を従来の学部を基礎とした組織から大学院を中心とした組織に変更し、ものづくりの根幹的科学技術教育を担う工学府が発足しました。工学府では、これらの理念の実現のために、様々な教育改革を行って来ました。2007年には分野融合型科学技術に対応でき、広い視野を有する実践的な技術者・研究者を育成することを目的として、スタジオ教育を中心とする PED(Pi-type Engineering Degree)プログラムを博士課程前期・後期に設置しました。また、国際(グローバル)化への対応も進めて来ました。2015年度から大学院の講義は英語による実施となり、国際インターンシップ科目が導入されました。さらに、海外大学の大学院と協働して学位論文研究を進めて、複数の修士号あるいは博士号を授与するダブルディグリープログラムの設置も進んでいます。
2018年 4月 1日には、工学府を発展的に解消して新たに理工学府が発足しました。継承すべきものづくりの根幹的科学技術の更なる発展に貢献するとともに、予見されるこれからのものづくりに対して中心的・先導的に貢献できる人材の育成を目的としています。我が国における製造業の国際的卓越性は、生産現場における生産性の質と量の優位性に大きく依拠してきましたが、これら従来型の産業構造に、特にイノベーションによる産業力の更なる強化発展が強く求められていることと関係します。具体的には、産業振興が著しい情報通信技術、バイオテクノロジー、ナノテクノロジー、グリーンテクノロジーなどの先端技術に関わる分野において、これまで産業の発展を支えてきた工学に加えて、理学に立脚し、理学を包含した新たな理工学の技術的取り組みが必要だからです。本学が位置する横浜・神奈川には、最先端の公的研究所や民間企業等が数多く存在し、各産業分野から本学に期待が寄せられているイノベーションの創出を担う人材育成を実現することも期待されます。
理工学府の設置によって、これまでの工学の学位に加えて、化学、物理、数学の領域では理学の学位を出すことが可能となりました。また理工学府が提供する科目は、横軸として情報系科目群、理学系科目群、工学系科目群、実務系(プロフェッション)科目群という4種類に、縦軸として学府共通科目、専攻共通科目、専門科目という3種類に分類され、分かり易く学ぶことができます。情報系科目の履修は全員が必須となり、工学系の学生も理学系科目を学び、理学系の学生も工学系科目を受講することにより、幅広く柔軟な発想が出来る人材を育てます。
理工学府では現在博士課程前期で約 750名、博士課程後期で約 130名の学生が約 170名の専任教員のもとで学んでいます。1963年に発足した工学研究科以来の修了者は約15,000人となり、世界中で活躍しています。これらの先輩の方々に続く皆さんが、緑あふれる常盤台キャンパスで世界中から集った仲間と共に伝統ある「名教自然」の理念のもとに学業に邁進し、社会のリーダーとなるべき人材として成長されることを期待しています。
工学府長 梅澤 修